Roland製:電子ピアノの修繕と手入れ

Posted: 2016年2月27日 カテゴリー: 音楽

皆様、ご無沙汰しております。

久しぶりの更新内容は掲題どおり修繕記事です。

今回の縁あって修繕することになった電子ピアノは、【Roland製:HP-2700】です。
(※ Roland製:HP-3700、HP-230、HP-800、KR-4700、KR-5000も同じ構造のようです)

hp-2700_000

 
 

 使用期間:20年以上(1990年製)
  症状①:特定の鍵盤のみ爆音(音量が常に最大)
  症状②:鍵盤を叩いた際に一部ペコペコ音
 発症時期:2015年~
不具合誘因:隙間からの不純物混入

 
 
 
少し調べたところ「特定鍵盤の無音」や「足ペダルの不具合」などの修理記事が掲載されていたり、皆様大変そうでした。
別称「びっくり音」とも呼ばれるらしい当方の不具合も、電子ピアノとしては珍しくはない症状のようですが、
個人で修繕されているブログ記事が少なかったので、簡単にですが概要を掲載しておきます。
電子キーボードも似たような構造なので通用する作業だと思います。

大まかな作業手順としては、①不具合箇所の鍵盤を外し、②鍵盤とスイッチラバーと基盤の清掃となります。

<1>:まずは電子ピアノの内部を見るため、筐体を開放する作業です。

 ① 背面にある電源コンセントのプラグやコードをすべて抜き、譜面台を取り外します。
 ② 底板にある固定ネジ(天板用)を外します。(HP-2700はネジ9本でした。)
   (※ 外し方は下記のYouTube動画を参照)

 
hp-2700_001
 
 
 
 
 
 ③ 天板が観音開きに90度開きます。
 

 

 

 
 
 

<2>:次に鍵盤手前にある側板を外します。

 
hp-2700_004
 
 
 
 ④ 側板の左右と裏面の固定ネジを外します。
 

 

 

 

hp-2700_005
 
 
 
 ⑤ 側板は手前にスライドさせる形で外れます。
  (※ ヘッドホン接続端子は固定したまま、外しません。)
 

 

 

hp-2700_006
 

 

 

 

 

 

<3>:鍵盤を一つずつ外す作業です。

 ⑥ HP-2700の鍵盤はスプリングを用いた構造で、プラスチック製のL字留め金で固定されています。
  ですのでL時箇所を持ち上げる(押し出す)ことで、鍵盤の固定が外れます。
  (※ 外し方は下記ののYouTube動画を参照)

  ここで困ったのが取り外し金具が必要だということです。(詳細は上記動画を参照)
  動画巻末に金具の図面も掲載されていたので、針金などで自作してみましたが上手くいかず、
  当方は偶然あった裁縫の編み棒(3号:5mm)で代用しました。

  HP-2700の場合、鍵盤と固定基盤の間に両面粘着テープが貼られています。
  初回時は鍵盤を取り外す際、テープを引き千切るため多少の力が必要でした。

【鍵盤の外し方】

hp-2700_007
 
 
  ・鍵盤を押す。
  ・取り外し金具を差込み、L字部を引っ掛けて押す。
  ・その状態で押していた鍵盤を離す。(沈み込んだままになる)
  ・鍵盤をスライドさせて取り外す。
 

 

 

 

hp-2700_008
 
 
 
(白鍵:手前方向に引くようなスライドで取り外す)
(黒鍵:奥側方向へ押すようなスライドで取り外す)
 

 

 

 

 ☆HP-2800やA-90のようなハンマー型の鍵盤もあるようです。(※ 外し方は下記のYouTube動画を参照)

 

<4>:露出したスイッチラバーと基盤を掃除します。

hp-2700_009
 
 
 ⑦ スイッチラバーも両面粘着テープで固定されているので、
 ヘラ等で剥がします。
  (スイッチラバーは5組or7組の綴れセットになっています)
 ⑧ スイッチラバーの接触面(内側)と基盤の接触面を清掃します。
 
 
 
 

  ● 清掃には柔らかい綿棒を用いました。頑固な汚れには薄めた中性洗剤液を綿棒に湿らせて拭いてください。
  ● スイッチラバーと基盤は必ず、ブロワーや冷風で乾燥させてください。(熱で変形するのため温風厳禁)
  ● スイッチラバーにも基盤にもキズが無いことを確認してください。
  ● スイッチラバーを基盤に貼り戻す際は、位置ズレが無い様に固定してください。(薄い両面テープ)

【不具合原因を確認】
  今回は爆音を出す鍵盤のスイッチラバーの内側に、不純物(黄色の汚れ)が数点付着していました。
  どうやら基盤とスイッチラバーの隙間から不純物が入り込んだようです。
  ◆ 解消法: 綿棒などで汚れを落とすこと。

  もう一つの「ペコペコ音」は基盤のハンダ着けを隠す保護フィルムが経年劣化で浮いていたことが原因でした。
  ◆ 解消法: 電子回路を邪魔しない余白箇所で、保護フィルムを再固定すること。
 

<5>:ついでに磨耗した緩衝材(フェルト生地)を修繕しました。

(※主に白鍵側を修繕)

 ● 鍵盤を叩いた際に受け止める生地と、指を離した際の返しを受け止める生地の2枚で1組。
 ● 白鍵と黒鍵を合わせて4レーンの緩衝材があります。
 ● 修繕用のフェルト生地は厚みが薄いものを準備し、接着には布専用の接着剤を薄く塗布しました。

<6>:外した鍵盤を清掃し、摩擦部に潤滑用のグリスを塗布します。

 ● 打鍵時に具合が悪い箇所のみ潤滑グリスを塗布しました。
 ● グリスはプラスチックや金属に使用できる楽器用グリスを使ってください。(楽器店などで売っています)

<7>:外した鍵盤を元の位置に戻し固定、音源やタッチ感を確認します。

hp-2700_010
 
 
 ※ 音源確認は、電源コードのみ指し、電源ボタンをONに押し、
 鍵盤を叩きます。その際、基盤や配線には触れないこと。

 ※ 音源確認後は必ず、電源ボタンをOFFにし、電源コードを抜き、放電放置(1分間以上)して触らないこと。
 

 

<8>:側板と天板を戻し、ネジ固定を確認して作業終了です。

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 ⑨ 冒頭の外し作業とは逆手順で、各部位を戻しネジ固定します。
   譜面台を取り付け、電源コードを差し戻せば作業完了です。
 

 

 

 

【作業結果】
まだ様子見ではありますが、症状①の爆音を出していた件は緩和されようです。(何かの拍子に散発するかも?)
症状②の打鍵音は解消されました。(具合は使用者個人の感覚に左右されます)

今回は全88鍵盤の取り外し、スイッチラバー(1箇所)の清掃、緩衝材(3レーン)の修繕、
これらの作業は不慣れもあって全工程9時間かかりました。(休憩時間除く)

電子ピアノ(キーボード含む)の内部構造を見て、子供用の玩具のピアノを思い出しました。
規模は異なっても基本的な原理構造は何も変わらないことに少し感動ですw
長年使えるものは大切にしたいですね。

 

今日の詞情
「昨年は冷蔵庫、今年は電子ピアノ、来年は…?」

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最終更新日: 2016年02月29日

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